宝物といっても、北倉の皇室ゆかりの品々がメインで、中倉、南倉などの生活用品、儀式用の什器などは、やはり、見劣りする。しかし、その当時の文化、生活を知る上では貴重な資料であることには、ちがいない。
まず、国宝級の北倉の宝物から・・・ ①白瑠璃椀 <はくるりのわん>
・・・これぞ!シルクロードという逸品。この時代のガラス製品は、ほとんどが土の中より発掘されて、その輝きを失い、白濁している。
しかし、ここ正倉院では倉に格納されていたので、ややにぶい透明感を持ちつつ、重厚な存在感が伝わる。特にカットガラスの技法は古代ローマ時代の流れを汲む。計算されたカットの配列は、もはや圧巻である。
②平螺鈿背八角鏡 <へいらでんせいのはっかくきょう>
・・・・夜光貝を使って螺鈿細工を施し、赤のメノウをはめ込み、そのデザインも女性的な品を感じる。顔を映す、鏡はこの裏面になる。→

③尺八・・・この展示の前に行くと、昭和23年、27年に実際にこの尺八を演奏した音を聞かせてくれた。陰気といえば、申し訳ないが、想像した気持ちのいい音ではなかった。
しかし、非常に細かい細工がされ、一目しただけで、高貴な方の持物だとわかる。とても高度な技術と手間を感じる。
この他にも、貝を使ったスプーン、刃の幅が1㎝ほどの細長い包丁、銅にスズと鉛を混ぜって作った金に似た合金、仏教の儀式用に使われた、天蓋、盤、経典類などがあった。
展示も最後あたりには、書類が多く陳列されていた。その中には、その当時、一大国家プロジュクトである、仏教の経典の写経生の・・・(つづく)